つづきですよ。
第一回目の失敗でございます。
前回書いた通り、浮いてしまったデカール部が削れているのですが、それ以上に、余白部分がやたらと白くなっていますね。これは行けません。
プリントする際には、左右反転、つまり鏡に映ったような=鏡像をプリントせねばならないところが、補修用として販売されているデカールと違い、当時のFenderと同じではないか!というのが何かアドヴァンテイジのような気がして使い続けてきましたが、どうなんでしょう。
ヘッドに設置する面にはシートの「のり」を圧着するタイプなので、その「のり」が、もしくはベースとなっているフィルムが、着色層が白系な事も災いし、より白く光を屈折させているのでしょうか。
そういえば、midnight specialの場合は地がメイプルまんまのナチュラルフィニッシュですから、さほど余白部の白化が目立たなかったのでしょうね。
ま、とにかく、プリントしたものはまだまだありますので第二弾行ってみましょー!
この位置ですよ‼︎
Fenderロゴから弧を描くSTRATOCASTERの"CASTER"部がペグポスト穴にグッと接近。
コレがストラトロゴの美ですぞ!!!ヘッド全体の重要なデザインポイント。
ふむっふむっ!
しかし、クリアのトップコートを塗り重ねてみると、
その他めくれ上がってきてる部分もあり、また失敗。しゃかしゃか地味にペーパーで塗装を剥がします。
ところで、ここで突然ですが、前回言っていた様に市販のデカールでは雰囲気ぶち壊しになってしまうロゴは一体どうしたかというと、イラストレーターで手づくりしました。
元の状態のヘッドを撮影し、原寸大にした画像にレイヤーを重ねてぴたりと文字位置を調整、データ化したロゴを現実世界のデカールへプリントしヘッドへ。
と、すらすら書いちゃえば簡単なんですが、コレが大変。まさに大事業の修復。
Fenderロゴは、黒枠にするため中の色を抜き、荒れた状態の黒枠を、ピクセル(画像を構成している小さな四角)が見えるまで拡大。余計な部分のピクセルを取り除いたりその反対をしたり、黒枠全体が貧相になってしまったのを神業的な思いつきで修正したり(ここまではphotoshop)。
STRATOCASTERのフォントはネット上で「コレじゃないの?」と言われるものが諸説あり、その中で一番近いものをチョイスしましたが、やはりそのままでは使えないのです。なので、弧に描いた文字をアウトライン化しグループ解除、元画像に合わせて位置決めをしてから、アウトライン化した文字のポチポチをつまんだり引っ張ったりして文字の形を加工して合わせていきます。
Sなんか顕著ですが、AだってTだって...と、結局全ての文字に加工が必要。
さらにレジスターマークのRも同じものがないためまた加工。Contour Bodyはドンズバフォントがありましたが、パテントナンバー表記、ORIGINAL/PATENTEDはごく近いものを探しました(ORIGINAL/PATENTEDはさらにその一部を加工してあって、コレが結構なポイントなんですなぁ)。
でもどんな市販のものよりオリジナルに近いと思いますよ。だって売り物にするのではなく、修復ですからね。しかし、当時のデザインとパソコン上の作業とでは、近づくことは出来てもどこかしっくりこないものがあります。やはり直接の手作業と、データ世界で行うためのインターフェイスを介してでは、前回も書きましたが「美の成り立ち」が違うのでしょうか。
ちなみに、Fenderの黒枠の中の色は何色なの?
ハッハッ、そうなんですよ。微妙な色でしょ?
オリジナルのFenderロゴは、中や外が金や銀だったりしますが、素人プリントでは金銀は無理ですからね。
ただし今回はマッチングヘッドですから、金銀縛りではなくなるわけです。
ほら、ウチのマスタン子ちゃんなんてこうですよ。
ヘッドの色はボディと同色で、そこに乗るFenderロゴは白!あれれパテントナンバーも!MUSTANGも白抜き!! なんてシャレオツなんでしょ。
となるとこのロゴとヘッドの色は....
それはお楽しみということで。
では気分転換もできたので、第三弾行ってみましょー!
デカール貼ったまではいいのですが、その後のトップコート、クリアラッカー吹きに問題がある様ですな。
ちょっと冷静になって調べてみましょう。
では、ガラッと話題を変えてせっかくなのでこの際に、計画していた別ミッションの発動です。
先ずはフレットのすり合わせですね。
コレは塗装を始める前の写真ではなく、第三弾を剥がし終わったものです。よく見ると、ヘッドの所々に白いパテが乗ってますが、コレは、3回続けてペーパーで塗装を剥がすのがだんだん億劫になってきたので、剥離剤を使ってやったはいいが、最近の剥離剤は見るも無惨に塗装をチリチリ溶かし崩壊させるものではなく、ほんのり柔らかくさせるくらいなので、少々力を入れてへらで押し込んで作ってしまったへこみを埋めているのです。
このネックには当時のオリジナルフレットがそのまま残っていましたが、すり合わせてみるとホラ、こんなにガタガタ。両隣に比べてフレットに塗った赤マジックが削れていない19フレット、削れている18フレット以前の17,16,15の高音弦部が削れていない(これじゃベンドすると音が詰まるのも道理)。
いつかご紹介したダイアモンド砥石でちゃんとしてあげましょう。
細くて低いオリジナルフェンダーのフレットをすり合わせしちゃったら、ペタペタになっちゃうんじゃないの?と思いがちですが、「男は黙ってテレキャスター」の67年テリーをすり合わせしたらば、てきめんに弾きやすくなったことがありましたので、迷わず行きましょう。
そしてすり合わせがキレイに終わり、マスキングテープを剥がすとホラ、
「フィンガーボードステイン」とな?
そうです、一度やってみたかった指板の黒染を行う時が来たのです。
ネットで検索すると、木工用ステインがいいよとか、なんとパオンやらビゲンやらの「白髪染め」で出来る!とかいった事例が散見されますが、どれもピンと来ませんねー。
と、そこで見つけたのがこちら。ヴァイオリン工房で買い求めました。
ヴァイオリン属の指板って真っ黒ですが、ほんとに真っ黒なエボニーは今や大変希少で、大抵染めてるんだそうです。
ならば、代用品的なものより、長年の実績があるこれでしょ、すり合わせついでにやるなら今でしょと決定!
して結果は、
大満足なのであった!!
ポジションマークやフレットについたステインは、ラッカーシンナーをつけた綿棒で拭き取ればOK。指板サイドもキレイに染まりました。
乾いたらもう指には付きません。
あとはどれくらい持つかだなぁ。でもひと瓶でヴァイオリン50本分染められるとか言ってたからまぁいいか。
マッチングヘッド&デカールの挑戦もまだまだ続きますよー!
コメント
私もエボニー指板が大好きでして、バインディング無しのローズ指板をエボニー風に染めてみたいと思っています。
そこで、ひとつお聞きしたいのですが、記事の中で指板サイドも染まった旨の内容がありますが、指板表面からの塗布でサイド面まで染み込んだのでしょうか?
私のネックはサイドと裏がグロス仕上げでして、サイド面からは染料の塗布ができないのです。
バインディングありのパーフェロー指板は墨汁にて黒く染めることができたのですが、どの程度染み込ませられているか確認できず、コメントさせていただきました。メインギターですので、慎重に情報を集めておりまして、是非ともご教示しただければ幸いです。
パーフェローの墨汁は弾いていて禿げてきませんか?
ご返信ありがとうございます😭嬉しい限りです。
サイドをマスキングされてメイプル部に影響が無かったとの情報ありがとうございます。メイプル部への影響を少し心配しておりましたので助かりました☺️
バーフェロー指板ですが、染色後にレモンオイルでゴシゴシ拭きまして、ワックス入りオイルと蜜蝋ワックスで仕上げました。
今の所弾いていて指が黒くなったり、禿げてきたりはしていません☺️
しかし、表面しか染められていないと考えられることと、バインディングの表面をカッターで掃除した際に少し刃が当たると色が薄くなったように見える箇所もありましたので、中長期的には禿げてくるかもしれません。
好き勝手やってるブログですが、何か気になることがございましたら、いつでもコメントください!