BRASS MONKEY


BRASS MONKEY(真鍮のお猿)って何だ?
70年代にそういう名のアメリカのバンドがいたけど。

英語の慣用句で、「尋常じゃない寒さ」という意味で使うのだとか(ex. "Brass-Monkey" Weather)。
ネットで検索すると「真鍮のお猿のタマタマが凍り付いてちぎれるほどの寒さ」ってのが割とヒットするのですが、程度を表す言い方として伝わらなくはないのですが、ホントかね?
「尋常じゃない寒さにタマタマが凍り付いて真鍮の様にカチンカチンになって終いにはもげてしまった哀れなお猿」だったらもっとしっくり来るけど。

どうやらその起源は、大航海時代?舟に積んだ大砲の弾(まん丸の鉄球)のストックを、ゴロゴロ転がらない様に真鍮の2本のレールで組んだ棚の上に並べていたそうなのですが、航海途中、あまりの極寒の地域ではレールの真鍮が縮んで弾がゴロゴロ。
その真鍮の弾置きを"BRASS MONKEY"と呼んだんだそうな。
しかし何でお猿なのか、弾=タマタマなのか?
結局少々謎は残りますなぁ。

我がMIDNIGHT SPECIALは以前書いた通り、GIBSONとしては異例のディタッチャブルネック。
このモデルに関しては、一見GIBSONファンから非難囂々なこの方式が実はコロンブスの卵、コペルニクス的転回だったのでは、なんて思ったりしいるのですが。。。


あらためてディタッチャブルネックについて検索していると、こんなパーツが世にはあるのですな。

ストラト、テレキャスのネックプレートをこの分厚いブラス(BRASS)製(3mm)のものに付け替えると、サステインやら響きが変わるのだとか。

ネックプレートの材質なんて今まで考えもしませんでしたが、確かにネックジョイント部分てのは、余計な振動などさせない方が良いのでしょう。
『振動防止には重量のあるのもを』とは良く聞くセオリーで、かく言うウチのステレヨのスピーカー(今は無き数寄屋橋ハンターで中古で買ったDIATONEのでかいヤツ)の下には、分厚いコンクリの板を敷いてあります。

それにこの世には『比重』というものがあり、ブラスは鉄よりも比重は上。つまり体積に対してより重いというわけ。
しかも、通常のプレートの2倍の厚みとあっては、その重量はことさらということなのでしょう。

ふーん。上の写真の通り、MIDNIGHT SPECIALのネックプレートはFENDERとは大きさが違うし、ネジ穴の位置も異なります。しかもメッキがあんまりいいものではないようで、どうもチャチさが否めませぬ。
でも、どのような変化が起こるのか、せっかくだからやってみたいなぁ〜と思っても、件の市販のプレートではサイズが合わない。

そこで見つけたのが、真鍮の3mm厚の板を小口で売ってくれると言う奇特なショップ。

手作業になるのでたいへ〜んとは思ったのですが、せっかくの機会、検証してみましょう!


でけた!

金鋸で切ってヤスリで削ってペーパーで面取って番手上げて仕上げてコンパウンドも3種類使ってと、グラインダーもバフマシーンも無い手作業でかなりの労働でしたが、やれば出来るもんです。

ここでも例のツールが活躍。


さて音はどうなったかと言うと、
低音弦の振動の仕方が見た目からして違いますね。確かにゴーンという太くパワフルな響きになって、サステインも結構なものです。弦に直接触れるパーツではないのに、これほど変化が感じられるのですな。

ところで、MIDNIGHT SPECIALの画像を検索していたらこんなものも見つけました。



すごい杢の出たボディ。
普段虎だのキルトだの、メイプルの杢には差して興味が湧かないのですが、このギターの素性は気になります。
おそらくカスタムメイドなのでしょう。
ヘッドのレスポールのロゴはシャレでしょうか?

しかし大変気になったのが、この写真。

矢印のパーツは何でしょう?

ネックの角度調整方法としてはイマイチ不適切でしょうし、ネックの色が反射しているだけの様にも見えますが、ブラス製に見えなくもありません。
もしかしたら厚いネックプレートと似た様な発想なのでは?
つまり、ネックジョイント付近の重量増しで音の変化を求める??

ということで、余った真鍮坂からこんなものも作ってみました(ストラップボタンは違いますよ)。


そういえば、70年代末に日本のメーカーがご自慢のオリジナルモデルをリリースした際、『サスティーンブロック』なるものを搭載しており、あれはブリッジ全体の重量を増して効果を狙ったものだとか。
テレキャスターはあのブリッジプレートを含めた全体がブリッジユニットであり、ゆえにあのブライトな生鳴りが実現しているとも聞きました。
ならばと、ブリッジ(ワイドトラベルブリッジ)の裏側にマタマタ余った板から切り出したブラスを貼付けると確かにそれまでより若干ブライトさは増しますな。

う〜ん、でもどうなんでしょう?
弦交換の際に全てノーマル状態に戻してみると、なんだ、イイ音じゃん。

余った真鍮板で拵えたものは確かに猿知恵のなせる業だったかもしれませんが、ネックプレートは『音を変化させる』という意味では効果大でした。
あの市販パーツの名称が"TONE SHIFT PLATE"というのもその通りでしょう。

しかしこのMIDNIGHT SPECIALは、もともと生鳴りがさほどブライトではないものなので、低音弦側にスゴミがシフトしてしまうと、高音弦の倍音が減ってしまう様にも思えました。
元のギターの低音弦、特に6弦が他に比べて振動が弱いと言うか、ゴーンと来ないストラト(私が初めてバイトして買った国産のがそうでした)につけてみるとか、良く知らないのですがヘヴィボトムの弦を張ってドロップチューニングでズンドコやる方にはもってこいなのかも。

まぁ色々やってみたくなるのは人情なので勘弁してチョ。
しかし、ピックアップを交換したL6-SやMIDNIGHT SPECIALの写真を見かけるたび、
「あ〜あ、やっちゃってるよ〜。あのピックアップ込みでこのギターの音なのに」
なんて偉そうに他人のことは言えませんな。

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