懐かしの君




うわぁ〜、また始まったの?病気。

いえいえ、これは『検証』シリーズです。

高校の文化祭でフミフミしていた初めて買ったワウはMAXONの"BLUBBER"でしたが、大学に入った80年代初頭、新宿は厚生年金会館とアートシアタージュクに挟まれたあたりにあった(今でもある?)ミュージックランドなる楽器店で購入したのが、これと同じ"JEN CRY BABY SUPER"でございました。

当時のインプレッションがいかなるもので、インダクターはFASELの何色のものだったのか、『ガリ』が出たか何かでどこぞへ手放したか、スウィッチが壊れて捨ててしまったかはほとんど覚えていませんが、おそらくこれと同時期のものだったと思います。

その後、マルチエフェクターの端っこに申し訳程度に鎌首をもたげているワウらしきものを横目で見たり、イバニーズのプラスティック筐体のものを使ったり、VOXピカピカペダルのリイシューに騙されたりと、90年代にかけて追いかけて行ったワウの進化?への興味もトーンダウン。

してしばらくのブランクの後に原点回帰モディファイ情報がネット上で手に入る様になってからは、自らも半田ごてを握りしめてふぬふぬ試行錯誤を思考して種々のモデルを体験してきました。
その辺は旧ブログに書きなぐって来たのですが、いまだアーカイヴできていません。ゴメンちゃ。

さてこの度遭遇したのはその初めてに近いワウ。
しかも今やヴィンテイジ扱いの"JEN"を、当時使っていたいたギリギリリアルタイム世代であったけれど『いやさ、あの時の音とはどんなものだったかのぉ〜』という『検証』機会に恵まれたわけです。



元箱付き、バッグ付き、本体全くキズ無しという、タイムマシーンコンディション。
本体のみのボロボロ中古品だったら見向きもしなかったかもしれないな〜。
しかしここまで揃ってると、ガキンチョだった頃に新宿からガタゴト電車に揺られて買って来たばっかりの、手にした時に感じたワウワウペダルの、他のコンパクトエフェクターに比べての無骨さ、『何だこれは?』といったような存在感、もっと言えば『異物感』がマザマザと甦ってきたということ。

『何だこの上履き入れみたいなのは?だっせぇー!』
そうそう。

しかし最も違和感だったのがこの箱。

そう、このイラスト。


何じゃこの猿人は?
『電子スウィッチ』『マルチエフェクター』出現の当時において、ワウとはいかにもの原始的エフェクターゆえにこの半猿人のイラストなのか?と余計な考えを巡らせもしました。
初恋の君にはもうめぐり逢えなくとも、異様な姿の懐かしきキャラクターには再会できるもんすなぁ。いやはやなつかし〜やらなんやら。やっぱ病気か。

はいはい、肝心な音の方は?

このJEN CRY BABY SUPERはこの時期最もポピラーな『白FASEL』インダクターと、エメラルド色の.01uFコンデンサーX2、白団地状の.22uF X2、イタリアンメイドならではの軽量アルミ筐体のという仕様。
ヴィンテイジワウの中では少々広めのペダル開口幅のせいかはたまた白FASELのせいか、ペダル手前〜爪先全開にかけてのトーンベンドのドラマチックさは、我が家のワウの中でも一番かも!
心配していたポットのガリも、動かしている間に解消できたレベルなので、何とか復活剤とかは一切使ってません。


最も気に入っていた我が家のTHOMAS CRY BABY(スタックオヴダイムインダクター)が、そのトーンのクリアさとスマートな効きが売りとしたら、比べてこのJEN SUPERは、もっとジミヘンライクでしょうか。
ワイルド且つミドルが強調されていて、しかも爪先最終踏み込みポイントの『ウギャ〜』がしっかり変化する。
ある意味、ワウに求める用件がそろっているわけです。

う〜ん、THOMASとこのJENがありゃ事足りるかなぁ。

今のところ、フットスウィッチをバイパス可能な6Pinのものへ付け替えた程度。
いつもなら『白団地』コンデンサーは即交換したいところですが、ほぼデフォルトの状態でそのポテンシャルを感じられたので手は付けていません。
んなら、過去やって来たコンデンサーチョイスって何だったの?
まぁ、その辺が理屈でスパっと行かないのがアナログの良いところでしょう。
端子が真っ黒になっているジャックはそのうち交換かな。

いや〜、やっぱり当時のJEN CRY BABY SUPERってとっても良いものだったんですねぇ。しかし当時は、んな古めかしい無骨なもんにとって変わってこれから新しく良いものが出てくるのが自然なことだと当たり前に思っていた。しか〜ししかしそこから数十年、21世紀にもなった今、ワウペダルに求められているのは、かつてのオリジナル期の個性であり、もう皆さんご存知の通り、『再現』など完璧には出来ないのです。
理屈から行っても、新しいものは作れても過去を甦らせる事など不可能なわけで、そこに無理を通そうとして見た目を繕ってみたりしても、パラドックスはいつまでも生じてしまうのですな。

いつの間にかこんなに増えちゃったワウペダル。せっかく集まったんだからと宴会をさせてみましたの図です。

 

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