リクエストをいただきましたので、旧ブログに掲載した、DEWTRONのBASS PEDAL、MISTER BASSMANについての記事をアップします。
先ずは、使用曲(アンリサルヴァドール)の権利上世界的には発信出来ないとか言われてしまった、私め作成の動画をどうぞ(このブログ上の限定公開です)。
超アナログサウンドのベースペダルゆえ、デジタル処理の動画の音声ではうまく伝えられませんが(ヘッドフォンならナイスかも)、どうぞご覧下さいませ。

DEWTRON MISTER BASSMAN
(日本国内限定で視聴可能なヴァージョンです)
*前半はムッシュブンブンのオールディーズ風味とフェティッシュな画がどことなくケネスアンガーの『KKK(Kustom Kar Kommandos)』みたい? 最後はアルジェント初期へのリスペクトだもん。てへっ)
ムッシュと言えば、かまやつさんが『なんにもな〜い』というあのギャートルズのエンディングテーマを書いたのは有名ですが、オープニングの
『ギャ〜オ〜オ〜! はじめ人間ゴンゴンゴ〜ン ハニャハニャハニャハ〜』
ミッドセヴンティーズの小学生にショックを与え、大流行したオープニングテーマ曲の作曲もムッシュかまやつ氏なんだそうです。
放映された実際の歌唱は別の方々によるコーラスですが、仮唄レコーディングの際、マイクの前に立つかまやつ氏の隣で、べろべろに酔っぱらった原作者:園山俊二氏が
『もっと、もっとムチャクチャやってくれ〜!』
『ムキョ〜!アギャパラ〜』(かまやつ氏)
という何ともナイスな現場で、その仮唄から譜面を起こされた実唄のレコーディングを行わねばならぬ面々は正に面食らったのだとか。
こういう現場の出現できる可能性って、今となってはありえないとかなってるの?
ちなみにこのお噺は、『ムッシュ!』という本からのもの。
カントリー&ウエスタン畑のムッシュが、ロケンロー黎明期をも体験し、んだば黒人発のロケンロールをやってみんべといった時に、『ジョニーB.グッド』は、ギター等の伴奏である8ビートに、シャッフルリズムのドラムをぶつけると『グイグイ前に』進んでいく『ロック』のリズムになる。同じ『ジョニーB.グッド』でもここを外すと途端にロックじゃなくなると言う『ヒミツ』。イイこと言いますねぇ。
流石ムッシュ、真理、定理、テオレマの、まさにリアルタイム実地の貴重な体験談。
その他素敵なお話満載で大変面白いご本でありました。
さて、その動画の我がムッシュブンブンとは何ぞやと言うと、
英語にすれば”Mr. Bassman”。
そうなんです。
『女のしぐさ』EP同様、まさか手に入るとはと思っていなかった歴史的デバイス(ベースペダル)が手に入ったのでする。
一般的にベースペダルっちゅうと、

この様な、エレクトーンの足下的な、パイプオルガンを模した木調、木色調の長い鍵盤が本体からニョキニョキ出ているやつですよね(ちなみに左のFENDER BASS PEDALはJOHN PAUL JONESが使ってました)。その当たり前なデザインを覆した佇まいで登場したのが、ある種の都市伝説化している、かつて存在した欧州メーカー”Dewtron”社のその名も”MISTER BASSMAN”なのです。
これは私のではなく、かなりミントコンディションのお写真ですが、

ほれほれ、いわゆるステレオタイプのベースペダルとかなり印象ちがうでっしょ〜?
謎の多いメーカー、メカニズムゆえ幻の機材とも言われるこのペダルを、レア度の割りにはリーズナブルに手に入れたのは良かったのですが、
出品画面にはこのミントコンディションと同じ写真が掲示されていたにもかかわらず、届いた現物は改造しまくりのもの。
写真とは別個体って、そんなのありかよ〜ッて一応クレームを入れたら、出品者の土地のご立派な「王様英語」で言い訳タラタラ。ったくねぇ。
ということで、斯様な美品からはほど遠い、ネジ穴空けまくり、改造箇所色々、動作不安定のBASSMANを、やっとこ甦らす事が出来ました。
レストア前の写真はございませんので、かいつまんでお話を。
創業後、瞬く間に会社をたたんでしまったDewtronですが、製品の球数の少なさに加えて、その正体が不明とされている要因がこちら。

要は、シンセの主要パーツはこのドでかい黒砂糖のお菓子の様な樹脂の固まりの中にあるため、肝心な部分が判別、解析できないと言うもの。
我がBASSMANの中にはこの塊がひとつだけですが、いわゆるキーボードタイプのシンセには中身の違うこの塊がいくつも装填されていて、全く持って手出しできないそうな。
そして、数少ないYouTube動画等で紹介されている『要修理』状態のBASSMANの症状は、大抵不安定なチューニング。

鍵盤の裏側には、各キーの音程調整用のトリムポットが付いているのですが、ここでも修正不能な音程が定まらない不調がどうやら多くある様です。
ちなみに、検索して見つけた文献に下記URLのものがあって、この方も、チューニングの不調に悩み、結局廃棄してしまったのだとか。
http://www.gregonemanband.plus.com/mrbassman.html
『久々に引っ張りだしたDewtron MISTER BASSMANに9Vバッテリーを接続してしまった。BASSMAN発売当時の電池は6Vであるからゆえ、現代のエフェクターで主流の9V四角バッテリーでは電圧が合わなかったゆえ、先ほどご紹介した樹脂で固められた心臓部(の中のいずれかのパーツ)に多大なる疾患を引き起こす結果となり、結果まともなチューニングが得られず、結局廃棄してしまった』
とありますが、私の調べた範囲では、デフォルトのBASSMANは9Vバッテリー2個使用の、言ってみればエフェクターの様なベースペダルであり、氏の指摘する当時の電池=PP6とは、大きさは違えども、現代のPP9と同じく一個は9Vの乾電池なのでは(海外の電池事情には明るく無い為ハッキリしませんが)?
でも本当にこの樹脂魂の中身がダメになっちゃったからチューニングが合わないの?
はたと、拙いながら今までの機材いぢりの経験からその結論には疑問が湧いてきました。
『むしろ電圧が不安定になっているからでは?』
ちなみに、私の手元に届いた状態では、電源部が電池ではなく、エゲレス240V仕様のコンセント方式とする為内部には小型のトランスを装着という、全く余計な改造がされており、先ずはこれを9V 2個へと戻しました。

はいそして電圧関係のリフレッシュの定番、経年劣化の電解コンデンサーをおNEWの物に。

特にこの2つのキャパシタンスが表示とはかけ離れており、オレンジ色の方は+端子側がむっくり膨れております。
とりあえず大方のコンデンサーを取り替えて、

先ほどのトリムポットをチューナー見ながらなんとか調整。

各キー用のトリムポットの他に、青矢印のものもあり、それぞれの兼ね合いでポットの調節範囲を割り当てながらやらねばならぬ為、かなり時間がかかりましたが、見事にチューニングできました。
次に、さらに施されていた余計な名人芸、オクターブスウィッチをナニすると点灯するインジケーターLED&回路基板を撤去。
スッキリしたのは良いですが、先ほどの電源ケーブルと合わせて、取付けネジやらの大小の穴がたくさん空けられてしまっているのを何とかせねば。

ということで、”MISTER BASSMAN”の四角いステッカー以外の、子供のいたずらのようにペタペタ貼ってあるのが、全て穴隠し用に拵えたものです。
もちろん、このペダル使いの第一人者、というかそれ以外には知りませんが、初期GENESIS/マイクラザフォード氏へのリスペクトでする。なはは。
さてここで、ただでは起きないのが私のいいトコロ、というかまたぞろイタズラ心が働きました。
それは、ネジ穴のひとつを利用して電源ON/OFFのパイロットランプを取付けるというもの。
一般的なエフェクターはINPUTジャックにプラグが刺さっている間は電源ONで電池を消耗しますが、BASSMANはVOLUMEツマミがON/OFFを兼ねており、うっかり電源入れっぱなしにしてしまいそう。9V電池は100均でいつも買ってるけど、2個使いだし。
ちなみに先の写真の電池(”FUJITSU”ブランド)はその100均のマンガン電池ですが、値段の張る長寿命のアルカリよりマンガンの方が音がいいってホントかなぁ?
して、普通にLEDを出っ張らせてもつまらないので、こうなりました。
 
もちろん、このペダル使いの第一人者、というかそれ以外には知りませんが、初期GENESIS/マイクラザフォード氏へのリスペクトでする。なはは。
さてここで、ただでは起きないのが私のいいトコロ、というかまたぞろイタズラ心が働きました。
それは、ネジ穴のひとつを利用して電源ON/OFFのパイロットランプを取付けるというもの。
一般的なエフェクターはINPUTジャックにプラグが刺さっている間は電源ONで電池を消耗しますが、BASSMANはVOLUMEツマミがON/OFFを兼ねており、うっかり電源入れっぱなしにしてしまいそう。9V電池は100均でいつも買ってるけど、2個使いだし。
ちなみに先の写真の電池(”FUJITSU”ブランド)はその100均のマンガン電池ですが、値段の張る長寿命のアルカリよりマンガンの方が音がいいってホントかなぁ?
して、普通にLEDを出っ張らせてもつまらないので、こうなりました。
 
にゃははは、やったぜ!
最後に「オクターブ切替」「サステインON/OFF」の四角いフットスウィッチボタン。
既に片方が失われており、クッションとなるスポンジゴムもコチコチに固まっていましたので、新しく誂えましょう。

アキバで買って来たバッテリーケースを薄く切り、天面に透明のすべり止めゴムを貼りました。スプリングとなるスポンジは推して知るべしの台所用ですが、この適度な軟らかさがかえって使いやすくなったと思います。
さて肝心な音ですが、思い描いていた通りと言うか、欲しかった音そのものでした。
「せっかくなら”MOOGタウラス1”の方が使い手あるんじゃん?ラザフォードもJPJもその後タウラスにしたんだし。」とお思いかもしれませんが、バカでかいタウラスに比べコンパクトでカワイイし、なにより、タウラスの「いかにもシンセ」という『ビヨ〜ン』という音が少々苦手なのです。
ではMISTER BASSMANはいわゆるエレクトーンの足鍵盤の様な音かと言えば、野太い低音にかすかなシンセ的余韻が程よいブレンドで実にいい具合なのでございます。
ちなみに、先の動画を海外からご覧になる場合はこちらで(ショートヴァージョン)。
https://www.youtube.com/watch?v=C_721cVBM0M
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