瑕瑾と呼ぶなかれ


年末も大変押し迫ってきました。
やっと寒かったりした日には、帰宅早々はぬる燗がやたらとシミますが、オコタで温々温まりながら良く冷やしたのでもイッペーやりたいものです。

以前撮った写真ですが、こんなちびちびセットさえあれば幸せ。

蕎麦猪口に入っているのは「剣先スルメ」。
小皿は手前から反時計回りにアンチョビ、ケッパー、梅びしお。
ちょっとした贅沢なひととき。

先日書いたお正月用のおチャケは、色つき「御前酒」より今回はすっきり透明な方の「まつもと」にしましょうか。

透明と言えば、我がL6-S MIDNIGHT SPECIALについている透明のピックガードは実はお手製です。


基本的にMIDNIGHT SPECIALのピックガードは黒。
しかし、以前ヴィンテイジ屋さんで見かけたワインレッド&ラメカラーの個体には、透明のタイプがついておりました。
そこで、入手時には欠品だったピックガードをいざ自作しようとなった際には、ピックガード跡の色焼けが少ないエリアとの対比がまた味ですし、ここはひとつ「クリア」で行こうではないかと。

ホームセンターで買ってきた2mm厚のアクリル板相手に、糸鋸、ヤスリ&サンディングペーパーで苦闘。
完成間近でヒビが入ってしまい第1弾はオジャン。
2回目でやっとこ完成。

曲線側(ピックアップ側以外)は縁を斜めに仕上げています。
下のふくらみからブリッジピックアップエスカッションにかけて、斜めが垂直に変化していく辺りはなかなかのものです。

ちなみにネジ穴の上部周辺を、皿ネジの形状に合わせてすり鉢状にする加工ですが、

スターエム 5007-120 ハイス六角軸面取カッター 12mm

こういった便利なものがあるんですなぁ。
先っちょの角度が肝心(90°)だそうで、どうりで今までドリルでやってて上手く行かねぇわけだ。

ブログのカテゴリーに"MIDNIGHT SPECIAL"を独立させました。
でもこのブログって、ひとつの書き込みにひとつのカテゴリーしか割り当てられないみたい。
他にも色々やってますので、ちょこちょこ紹介していきましょう。

ところで、自分の楽器の出所って気になったりしますか?
『アードンケ〜、ァバウチョペァ〜スト』
JBも唄っている通り私は全く気にならないのですが、先日ホントにたまたま画像検索していたら、おそらくこのギターであろう過去画像が。
割とウチから近い、今は無きリサイクルショップでNOW ON SALEとなっているブログページにたどり着いてしまったので、ついついのぞいてみてしまったのは人情。
特に詳細やらスペック情報などなかったのですが、既にピックガードは付いておりませんでした。

そこから何処をどう渡り歩いて私との邂逅を果たしたこのギターですが、私がROCKに目覚めたりした思春期である70年代中盤からやって来ただけあって、さすがにあちこちにその年輪が刻まれています。


こりゃまた凄い指坂のクラック。
まるで「おかき」みたい。
しかし見た目と違って、指に引っかかったりポロポロ剥がれたり弾いた後の指がしょっぱくなったりはしません。

どうやら以前ネックの反り修正のため『アイロン』なる試技が行われたとの情報は聞いていました。
要は指坂側からあっためてという作業の様ですが、そのとき加えられた熱のおかげのおかき化でしょうか。

そういえばその昔、私にampegを教えてくれた友人とバンドを組んだ際、彼が手に入れたギターがL6-S DELUXEでしたが、使っているうちにネックの反りがどうにも止まらず、リペアに出した際にやはりアイロン作業が行われたと聞いた覚えがあります。
結局完治せずに手放したとのことでした。
どうも色々話を聞いたり調べたりしていると、L6-Sシリーズはネックが弱点なのかもと思ってしまいますなー。
ヘッド裏にヴォリュートがついてるのにポッキリ折れている無惨な写真とかも結構出てきます。

もうひとつ。


一見?ですが、本来トラスロッドのナットってもっと手前にあるはずで、こんな奥に引っ込んでないっしょ。
そうなんです。
要は、元の位置でナット留めされていたトラスロッドがポッキリ折れてしまい(いわゆる『ねじ切り』)、木部から全く出っ張る部分が無くなってしまっていたため、ロッド(写真の六角ナットの中心に見える鉄の棒)の周囲を指坂方向に掘り進み、ロッドを露出させてネジ山を切り、ナットをねじ込むという方法で『調節可能な』トラスロッドを再生させたということ。
スゴイ技術ですなぁ。
リペアは私もお世話になったことのあるトップクラスの工房で修理したというだけあって、修理&調整後の指坂はホントに真っ直ぐ(フラット)。
しかもまだまだ調節可能範囲ありというからホント大したもんです。
してまた、窮地に陥ったギターをちゃんとレスキューして手渡してくれたショップの誠実さにも感謝です。

私がこれほど気に入ったギターでしかもレアもの。
しかしリペア職人さんや命を救ったショップの方がいなかったら私とは巡り逢わなかったのですからね。
言ってみれば、これらはキズ、瑕瑾(かきん)というより『勲章』みたいなもんでしょ。

次の機会には、入手後行ったパーツ交換その他をご紹介の予定でございます。

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