奮見


我が家のHIWATT DR-103には、合計4本のプリチューブが装填されており、ECC83/12AX7が3本、ECC82/12AU7が1本という構成です。
手に入れた際にはご覧の通り、ECC82/12AU7ポジションにはMULLARDが、そしてECC83/12AX7にはアメリカ製(Fenderロゴ入り)のものが2本、TELEFUNKENが1本でございました。

以前にもお話ししましたが、GAS=機材入手獲得症候群(Gear Acquisition Syndrome)を患っている中年男子はキリがありません。
タイプは色々ですが、私の場合はやはり抜きん出たものを手に入れるために様々なものを犠牲にし、またその逸品の獲得後も磨き上げてその素晴らしき『音』を我が手中にするといったところでしょうか。
素晴らしき1972年製HIWATT DR-103ももちろんその対象です。
目下というか今後の目標は色々あるのですが、このところ俄然TELEFUNKEN ECC83が気になって仕方ございませんでした。

先に申し上げた、このアンプ購入時に付いていたMULLARD ECC82/12AU7とTELEFUNKEN ECC83/12AX7各1本はもちろん発売当時からのものでしょう。そして、リプレイスされたであろう2本のアメリカ製12AX7の存在がフヌフヌと気になり、ヨヲロッパメイドの粋を極めた様なこのアンプには、やはり欧州製のプリチューブを持ってしかるべしとなり、先ずは、我がampeg B-25に付いているオランダ製の名品Amperex ECC83/12AX7を、アメリカ製が刺さっていたソケットに装填してみたのですが、??あまり良い結果ににはなりませんでした。ampegの時はあれ程劇的な変化を感じられたのですが。

そういえば、以前のHIWATTの回でも書きましたが、ampeg B-25で『天使の輪』が現れたALLEN BRADLEYのプリチューブプレート抵抗投入も良い結果が出なかった事から、こりゃやはり各々のアンプの特性なんでしょう。
では、当時から付いているであろうTELEFUNKEN ECC83/12AX7でそろえたら如何であろうとググり検索してみると、あれよあれよとその素晴らしさを湛えるご意見に溢れています。
ギターアンプ然り、オーディオ然り。

決まりましたね。アメリカ製12AX7の2本はTELEFUNKENへ差し替えじゃ!
ECC83/12AX7 3カ所は全てTELEFUNKENで統一じゃ!!
プオォ〜(脳内に轟く法螺貝の音)!
と目論んでいた訳です。

おかげさまで3本そろいました。
左と真ん中はTELEFUNKENのロゴが、右はFisherブランドがプリントされています。
"Fisher"、飛び出せ釣り仲間?

はいはいオトボケはこの辺にして、釣り仲間とはいかなる事ぞと申しますと、ヴィンテイジ真空管あるあるですが、TELEFUNKEN社始め、真空管製造元が卸先のオーディオブランドや楽器、電気製品会社の名を冠してブランディングした製品なのですな(いわゆるOEM)。ですゆえ、各社のロゴがブランドとしてめったりプリントされている訳です。
"Fisher"とはアメリカ(たぶん)のオーディオ機器ブランドの名前です(釣り仲間の他に、あの毛皮取られちゃう『テン』の意味もあるのね)。

左がリブプレート、真ん中と右がスムースプレート、スムースの方は真ん中と右で穴の空き方が違いますね。

下の写真は、ちょっと見辛いですが管の底にダイアマーク『♢』があるよというもの。

このダイアマークがあるのは当時の西ドイツ製ヴィンテイジ、無いのはレプリカという事で、あると無いじゃ大違いなのですな。

さて、四の五の言ってますが
音はどうなのよ?
ヌハハッハ!!
今回のブログのタイトル『奮見(フンケン)』とは、何かが激しく現れ出るという意味。
現れ出ましたがな『音』が。
ひと言で言うと、一皮も二皮も剥けたということ。
こりゃスゴいや!

パワー管のブランドを替えて音が変わるかという実験がタモリ倶楽部の『球転がし』でしたが、その回で球には音がありませんからというのがオーディオ屋さんの意見というかエクスキューズでしたな。

「パワー管とは消耗品、電球だって大きい方はしょっちゅう切れるでしょ?」
というのはヴィンテイジ楽器屋さんで教えてもらった事です。

して数年前、Vintage Guitar Magazineで『ヴィンテイジプリ管こそキモ!』というアンプドクター(チューブドクターだったかも)なるお方の記事を読んで、なるほどパワー管で最終的に増幅される前の、音(トーン)を作るエリア=プリ段での話なら、そりゃ影響大だはな。
しかしそげにヴィンテイジプリ管とは違うものかえ?
という疑問にも、ampeg B-25を経て、今回のTELEFUNKEN体験で歴然とした答えが出たという訳。

ちなみにヴィンテイジTELEFUNKENに関してはダイアマークは必須条件ではあるのですが、プレートがリブ(凸凹があるタイプ)か平らなスムーズタイプか、スムーズプレートに空いている穴の位置で本物度が違うとか、やっぱり他社ロゴじゃなくてTELEFUNKENのロゴがプリントされてないとイヤッとか、誠にオイオイ!といったご意見がその相場に影響している在り様ですが、
「実際付けてみて音がどうなの?どうだったのよっ」
ということとどんどん乖離して行っている事実にもちょっと気付かないといけませんね。
穴の位置とかスムーズだとかで四の五の言ってるのを尻目に『漁父の利』を得ちゃったというお話でした。

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