Jimiのブルースの中でもダンチのインパクト。
後に"Bleeding Heart"というタイトルでリリースもされる自作ブルースナンバーですが、その、私が初めて聴いた80年代前半に
『これでしょ、ジミのブルースのミリキとは!』
と言っても、◯ィズニーランド開業当時の大学生どもに理解してくれる人はほとんどいませんでしたね。
なんて時代や!
そして、酔っぱらったブルースハープを吹き、後半たまらずvocalに興じるのはジムモリスンで、この後さらにメートルが上がってくるとこうなります。
なるほど、こりゃ"X-rated"だなや。
ここまで酔っぱらえるジムもある意味幸せですが、彼のハートからは何がそんなにしたたり落ちていたのでしょう?
"Bleeding"といえば、ハイパスコンデンサーの事を"Treble bleed capacitor"なんてあちらでは言うそうですね。
皆さんは、"50s wiring"なんて言葉を聞いたことがありますか?
Gibsonの50年代のレスポールなんかの機種に採用されていた配線方法だそうで、次の図をご覧ください。
コレは、初期型レスポールのコントロールキャビティ写真ですが、トーンキャパシタ=トーン用コンデンサーが"Output"、つまり出力側につながっていて、ピックアップからの信号はそれとは別の緑色の端子に接続されていると。
しかしいつの日からか、ピックアップの信号が接続された端子にコンデンサーも接続され現在に至るという次第に相成り候というわけ。
へー、そうなんだ。と全然知らなかった私。
で、だからなんだっつーの?というと、この「50s wiring」だとvolumeを絞った時にハイ落ちがし辛くなるというのですから聞き捨てなりません!
ならば、かつてのミッドセンチュリーにGibson社で採用されていた配線方をもってすれば、Fender社のストラトキャスターに"Treble Bleed cap."を取り付ける必要などありゃしないじゃない!!!
というわけで、
ストラトのワイヤリングって何がデフォルトとされてるの?
という素朴な疑問をググったらやたら出てくる『ストラトの50s wiring』という図を見て、冒頭からのくだりが一気にオツムにズルズルっとしたたり流れ落ちたのでした。
ストラトに関しては、『男はやっぱりストラトかしら』のシリーズで、70年代ストラトには「サークルD」コンデンサーだべや、という結論に至り、その『きらびやかなよどみ』による効能を享受しつつも、しかしvolumeを絞った時の様変わりするハイ落ちは如何ともし難く、仕方なく同ブランンドのサークルDから選りすぐったものをTreble Bleed cap.に採用してきたというのは、これまでご紹介してきた通りです。
しかししかし、くだんの「50sワイヤリング」なるものを採用すれば、volumeダウン時のハイ落ちを防げるならば、コレは試してみるべき事だとは火を見るより明らかではないか君!
ということで、ゴールデンウィークとはいえ家に篭りっきり(毎年同じでしょ?)ならやってみんべと、朝目覚めたと同時にハンダゴテに火を入れる毎日が続いているのです。
何て素晴らしい休日の過ごし方!
これが現在のAntigua Leftyストラトの配線です(失礼、コントロール部を逆回しにした「ジミの気持ち」になる前の写真でした)。
Pickupからの信号と、Toneを効かせる配線がセレクタースウィッチを介して一つにまとめられvolumeポットに接続され、その左隣の端子からoutputへ信号が送られるという図。
ということで、volumeポットに付いてるハイパスコンデンサーを撤去し、toneと一緒くたになってるpickupの信号を独立させ、toneはtoneでoutputの端子ににまた繋げばイイんだな。
やってみましたよ。
確かにvolumeを絞っても極端なハイ落ちはしない。コレはホント良いです。
ストラトも、というよりストラトは是非ともやるべきです。
しかし、ちょっと待てよ。
音が何か違うぞ。
特にvolumeを絞ってハイ落ちはし辛くなったはずの音が、何か『入ってはいけない所に空気が入ってしまったような音』になっちゃったよ。
ストラトの元来の配線では、volumeダウン時にハイ落ち必至だったところをサークルDが「きらびやかなよどみ」の効能で補填していたということは以前から認識していましたし、だからこそサークルDにしたのです。
しかし、「volumeダウン時のハイ落ち」リスクが大幅に低減された今となっては、サークルDの音質が却ってアダとなってしまい、例えて言うなら、クラッチが上滑りしている状態とも言いましょうか。
なら、コンデンサー替えちゃえばいいじゃん⁈
あれほどサークルDだサークルDとか言っていたにも関わらず、こういう切り替えができるのが私の素晴らしいトコロですね。
で、コンペに出場したのがこの方々。
「空気が入ってしまったような音」とは苦し紛れの表現ですが、イヤな軽さの音を何とかすべく、ストラト標準とされる範囲を中心に揃えてみました。
で最終Top3に残ったのがこちらの面々。
左の2つは、70年代のFenderアンプについていたものですね。
茶色のは通称「チョコレートドロップ」、下の藍色の通称は知りませんが、私は「ナスの浅漬け」と呼んでいます。
クリップにつながっているのは、60年代のFenderアンプに使われていた"Bluemolded"。
ちなみに上に見切れている「オレンジドロップ(リプロでなく当時もの)」は今回も不採用。音が荒くってダメです。
どうして世のコンデンサー交換の筆頭に出てくるのかさっぱりわかりません。
『何はなくとも』とお考えなら、その固定化した考えはいい加減一度ゼロにする事をお勧めしますよ。令和なんだし。
ということで、優勝は
"Bluemolded"でした〜。
何と言いますかねー、ミドルレンジの音が「ビーン」としっかり伸びて行くという表現が一番しっくりきます。
「アルデンテ」とも言えますがちょっと微妙かな。
確か、「男は黙ってテレキャスター」もコレに落ち着いたんでしたね。
はい、こんな感じです。
volumeポットの右側の端子(青)にはピックアップからの信号が、真ん中の端子(緑)にはtoneからとoutputが繋がっています(ちなみに左の端子=赤はアースに落ちています)。
やっぱBluemolded(malloryでしたっけ?)恐るべしですかね。
実験は先の写真にあったように、いつものごとく、コンデンサー(ハイパスもtone用も)を取り去って繋いだケーブルをワニ口クリップで延長して実験台に固定して、次々とコンデンサを取っ替え引っ替えしてテストする方式です。
あ、ここであえて言っときますと、すでになにがしのtone用コンデンサが搭載されてるギターを、コンデンサーを差し替えできる実験機につないでテストしても意味ありませんからね。
どうしてそういう発想になるかわかりませんが(多分楽だから)、そういう人が、まぁお守りみたいなもんだからとかオカルトみたいなものだからとか言うんでしょうね。
「コンデンサーがギターの音質に与える影響」っていう意味をわかってないんでしょうね。
では、コンデンサーの音ってどうテストすればいいのかということですが、私の手順は先ほど書いたとおりでありまして、そして肝心かなめの実際の音色をどう判断するか?
それはアナタが一番浸れる気持ち良い状態になれるフレーズなり何なりを弾いた時に、どのコンデンサーをかました音が一番気持ちイイ浸れる音になるかで判断すればいいんですよ。
だから人任せにしちゃいけないんですよこういう大事な事は。
レスポールはバンブルビーだから...0.022uFだから...耐圧は...ストラトはred dimeだから...そんな受け売りはやってみてから自分で判断しましょうよ!
たっぷり時間があるなら、いっちょやってみて目を覚ましませんか?
へっへー、こちとら今週一杯休みだもんねという方は、ついでにジミジムセッションがたっぷり入ったこちらのアルバムもどうぞ。
コメント