赤金(コンデンサー選びは楽し 6)

 赤いのも出来ましたよ〜。

 

1978年製レスポールですから、ピックアップはこちら。

人呼んで「スタンプナンバードT-top」
要はするに、ステッカーだったのが、刻印(stamp)になったのですな。
ボビン上のTの字とウンモ星人は変わらず。 
もちろんこのレスポールに元々ついていたものですが、”You’re my midnight Queen”の仕上げでこのレスポールからひとつもぎ取られてしまい、虚ろなピックアップキャビティをポッカリ開けて不憫な状態にしたのは私です。
どう始末をつけるかはやりながら考えていきますので、レッツラゴーです。 

こちらは、オリジナルパーツのtoneポットです。
「1377830」の刻印は、1978年CTS社謹製ということですね。
では「71-079」ってなんでしょうね?カーブもわからん。

 は?112.8kΩとな??
そうなんです。どうやら定格100kΩのポットなんだそうです。
繰り返しますがtone用です。 ちなみに写真はありませんが、volume用についているのは「70-034」。
これは何と300kΩ。おや、前回52年金レスポールにつけたのと同じですね。
へー! じゃぁ、『レスポールは500k』ってのはどっから出てきた話なんでしょう?おそらく、この赤に500kをvolumeとして付けたのなら、前回同様音量がすとんと急に落ちる特性に剛を煮やしたことでしょう。
 これもやってみなきゃわかりませんねー。定番だからとか何とか言って、「こんなもんか」なんてどこか腑に落ちない使い方をしているなんてそもそもどうなのよ?ということです。

答えはすでに40年前にちゃんと存在してるんですね。 
で、配線はこんな感じになりました。キレイじゃないのはいつものことなのでご勘弁を。 
ブリッジ側のピックアップは、”You’re my midnight Queen (Le Farfalle nella note)”の選に漏れた、ダンカンの”JAZZ”です。

 JAZZってネック用じゃなかったっけ? 

別にイイじゃないですか。バランス悪くないし。
それと、ブリッジ側のコンデンサーが黄色のマロリー(?)になっているのは、バンブルビーの足を片方折ってしまったのでした。不器用ですねー。 

では、今回は赤のキャビティご開帳です。
トグルスウィッチキャビティは、金に比べて広々ですねー。 

こちらはコントロールキャビティ。右がアウトプットジャックで左がピックアップ&トグルスウィッチへの穴です。おそらくドリルで一発貫通と思われる丸い穴です。 

してさらにジャック側はこれだけ広く開けられて、配線したジャックをそのまま通すことができます。
キャビティの底も52年の様に斜めに段差があるわけではなく、金属プレートにロングシャフトポットごとアッセンブルされてと、やはり大量生産のための合理化が行われているんでしょうね。

 ついでにこちらは、トグルスウィッチのリングナット用のレンチです。
これを使えば、ラジオペンチで無理やり回そうとしてスベってリングに傷をつけたり、指を挟んだりしなくて済むのですが、実は52年金レスポールは、トップのカーヴがキツくてせっかくのこの便利な工具が使えないのです。
今現在金のリングと私の指先がどうなっているかはナイショです。刃先部だけ万力か何かで曲げてみましょうか。 

ということで再び仕上がり写真です。

 赤の方は以前両方ともカヴァなしだったのですが、ブリッジ側につけたダンカンJAZZはボビントップにデカデカとロゴが入っていて勘弁してちょなので、急遽カヴァを付けました。

どれどれ、では弾き比べを行ってみましょう。
フォントで音は伝わらないのは重々承知ですが、ん〜イイですね〜。
それぞれキャラが違いますね。

52金はレンジが広く、ピッキングに対する追随はやはり我が家で一番です。
して何よりも、(これは50sレスポールの常套句ですが)各弦の音の分離がイイの。 
ひるがえって78赤は、抜けのイイ明るいキャラクターです。
しかもピッキングに対しては52金ほど強弱の追随性は敵わずとも、実にセンシティヴ!ピックで弦を弾く時の音(摩擦ノイズ含む)もよりクリアだったりします。
やはり太めのマホガニーネック(52金)と薄くて細いメイプルネック(78赤)の特性でしょうか。

レンジの広さは、低音域方向に52金の方がよりワイドです。
比較して高音域寄りなのが78赤ともいえましょうか。ダイナミックレンジ(強弱)は断然52金ですね。
これはやはり50sレスポールならでは。
はっきり言っちゃって失われた技術でしょうな。

いや〜、よかった〜。余は満足じゃ。
涼しい風がなんと心地イイ宵であるかの〜。
ハハッなどど試奏の余韻に浸っていても、ムクムクっと鎌首を持ち上げるのが人の業というやつで、「はて、ネックピックアップにおいては、78赤の抜けの良さを52金にさらにプラスすれば無敵だぞ!なんとかやりようはないものかっ‼」とまた悪い虫ですねー。

先ず考えたのは、「ステッカーナンバード(52金)とスタンプド(78赤)のT-topスワップだべ!」 一般的に、『スタンプド(刻印)T-topになってから音が硬くなった』というのが昔からの言い伝えです。
でもその音の差は先程の試奏で、ギターの材、作りでほとんどが占められているのは実感しているはず。しっかし果たしてどんな差が出るかは「やってみなきゃわかんないよ」ねー。 

ハイハイ、ではこちらをといっても、赤にはすでに一つしかスタンプドは付いていません。あ、ならば... と、la farfalle nella notteからスタンプドをもぎ取って、52金のネックピックアップ(ステッカー)とスワップしちゃってもいんじゃん?と案の定な思いつきでショッカーの改造人間手術にまた手を染めたのでした。

結果は?確かに若干ハイ抜けがいい様にも思えますが、ごくわずかな差です。
ピックアップをお互い入れ替えたからといって、そのギターの音の特徴がそのまま入れ替わって表れたなんてことは決っしてありません!
やはりネックの材を含め、ギターの作りが音を決定的に決めてるんですよ!!

ここでもう一つ証明されたのが、昔っから事あるごとに言ってきましたが、70年代までのGibsonのハムバッカーとは、ギターの特性を脚色せずに伝えてくれる、素晴らしいピュアなものだという事。 
以前どこかに書きましたが、世にあるPAFクローンハムバッカーとは、『あの音が欲しいんでしょ?だったらその色に塗りつぶしておきましたからね。』というふうに思えてなりません。
に比べて70sまでのGibsonハムバッカーとは、『私は透明なので、鳴ってるあなた(ギター)の響きをちゃんと電気に換えてお届けするわ♡』そういうことです。根本的に物を作る上での発想のベクトルが全く違う方向を向いてるという事ですよ(ワイヤーがどうとか、手巻きだとか、パーツのクォリティの高さだとか....じゃないってことね)。
だとしたら、そりゃぁ、ね? 

なので、ギター本体がいい音で鳴ってなきゃ始まらんのです。だから、メイプルネックのレスポールも、やはりある意味進化だったのですよ。
Gibson社謹製レスポールモデルの矜持である「何か」をを捨てないための。

3ピースマホガニーネックパンケーキボディだろうが、メイプルネックだろうが、不思議と80年代以降のものには無い「Gibsonらしさ」を今までの所有経験や色んな機会に「あっ!」と感じて来たのはどうやらその「何か」のなせる業なんじゃないかと。
ははぁー、、、とすると益々スペックじゃねんだな................................. !ふむっ!ふむふむっ!! 
と、大層興奮してしまいましたが、さてさてピックアップを付け替えてもギター自身の特性が音を占めちゃう。
なるほど、これはもう、皆まで言うなの領域に入って来ましたな。
とするとさらに思いついた可能性の一端を探る「もうちょいネックピックアップの音抜けがあってもいーよねー」の方はどうしましょう?

 『コイルタップ』なんてキーワードも頭をよぎり、パーツの組み合わせや予算組みなんかも妄想してみましたが(配線し直したばっかりなのに)、どうも『ダブルコイルを片っぽ使えばシングルだべ』とか、あるいは『巻き数減らしちゃえばいんじゃね?』というのには、またまた違和感を感じてしまうのです。

(>_>)それって、定番の=メインの音になり得んのかな?
(>_>)メインは今までと変わらずで、コイルタップは飛び道具だよなー。
(>_>)どっちに切り替えても『こんなもんでしょう』的な妥協点を見つける事になってしまうんじゃないのかにゃぁ?
(>_>)『ともかく切替はうまく行ったんだから』という"Done"の考え方(=元々の思いつきやポテンシャルから遠ざかるアホの思想)に人って陥りがちだよニャー。 

ウンウン唸ってヒョッと思いついたのは、お得意のコンデンサー選びがあるじゃないか!ということ。
つっても、もうウチにはバンブルビーなんてないよ。
ですが、これは言ってみれば『レスポールにはバンブルビー』というのが、ややもすると思考停止に働いちゃってんじゃないの?
バンブルビーじゃなくとも、またぞろゾロゾロ出して来て比べてみればインじゃん? 

なーるほどー、ではやってみましょう! 

『え?まだこの上やるんですか?もうだいぶ長いすよ。次回に回せばいんじゃないんですか?』 

そういうささやきがオツムに聞こえた時は、どう言えばいいのかみなさんご存知ですよね? 

「でも やるんだよ!」 

はい、では選手の入場です。

レスポールの定番といえば、0.022uFですが、更に高音域寄りに作用するもっとキャパシタンスの低い物も出して来ました。
上の方に並んでるドロップ組と右側のサークルDは0.022、左側のサークルDは0.01、真ん中の黄色い「タイガー」2本も0.01。

そして、今回の映えある覇者はこちら、ブラックビューティー」!

0.0051!

0.01の半分?なんとまー、そんなの今までギターになんて聞いたことありませんが、前回と今回のポットで分かったじゃないですか。
「定番とされている」といっても「個」に「定(さだか)」では決してないと。
イイこと言いますねー! 今回の勝因は、高域成分の残り具合(volume絞った場合も)が実に素晴らしく、この52年レスポールのネックピックアップの音抜けソリューションには持ってこいである。
しかも、抜けだけではなく、そこに中高音域がビーンと芯が残るかの様に伸びやかになると、何か先日のストラトのBluemoldedと同じ表現になってしまいましたが、ドンハマりしたコンデンサーの効能とはこういったものなのでしょう。
実に使える音になりました。

出来栄えはこんな感じ。 
そうそう、ここから外したバンブルビー(0.033)は、78赤の足折って外しちゃったブリッジピックアップ用にしてもイイかもね。
ネック側には0.047が付いてちょうどイイ音なので、ブリッジ側にはも少し高域寄りの0.033をインストールすれば、よりトーンコントロールを積極的に使えるかもね。
ま、やってみなきゃわかんないけど。

んー、まだまだやれる事いっぱいだねー。

地獄大使かゾル大佐か、はたまたアンデス山中で謀に想いを巡らす首領の如く、ショッカーとしやの野望は尽きぬのであった。     

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