男はやっぱりストラトかしら?10



なかなかにサディスティックな道具が揃ってますな。

前回の反省を踏まえ、フレット溝切りに関してはネット上に綺羅星に輝く先達の試技の数々を参考にしまくりました。
要はキッチリ真っ直ぐに、深さも適宜に溝を切るための工夫が肝要。

上の写真左側にある白いパーツは、


指板に当てるガイドです。
当初、長年愛用の短めの金物差しをグイっと指板R状に曲げてやってみたのですが、やはり滑ってしまいボツ。何事もなかったかの様に慌てて真っ平らに直して、こちらは後に切った溝の深さチェックに活躍していただきました。

そこで、写真のアクリル板をやはり(ヒートガンを当てて)R状にし、内側には滑り止め用の薄ゴムシートを貼り付けました。
きっかけとなるガイドラインをキッチリ引くには殊の外重畳な使い手となりました。


先ほどの道具連は、この順番で溝を付けて行くのですが、1と2は「けがき」、つまり引っかき傷をつけるもの。

ここで、先のアクリルガイドを指板に当てて先ずは1番の薄刃ケガッキー(何て名前か忘れた)で細いラインをけがいた上で、2のアクリルカッター(「Pカッター」とも言います)で、しっかり溝を付けます。

ここで焦って力を入れすぎると、木の繊維と直角に引っ搔いてるものですから途中引っかかったり何だりしてしまうので(といっても今回ほとんどエポキシ樹脂の上をけがくのですがそれでも引っかかります)、軽〜く何度も慎重に、そしてアクリルカッターではその次のノコの刃がしっかり入るためのガイドライン掘りという重責もありますので、ある程度の深さを刻む必要があります。
ゆえに、軽〜く何度も慎重に。
ここがやってみて解った世界で、このけがき溝の堀込みの甘さでノコ引きがずれてしまい、実は最初のフレット何本分をもう一度埋め直し指板擦り合わせしたのであります。

さてお次に控えし3番、これがその名もげに恐ろしやの「ピラニアノコ」。

説明書きによると、木材はおろか、鉄、銅、アルミ、アクリル、FRP、冷凍食品、貝殻、魚骨、獣骨!までスパッと切れる。
『猛魚ピラニアの歯切りからそのデザインを得たピラニア刃。自然に学び人智で磨き上げた結晶がこのピラニア鋸』だというのですから、人類とは何と恐ろしいものを発明してしまうのでありましょう。

なるほど確かに溝切りもそうですが、一本眉のお頭に見せてあげたいほどの切れ味で、先ほどのアクリル板や3mm厚のアルミ板も難なく切れました。

そしてオーラスの4番、フレット溝本ちゃん(?)用ノコです。

今回打ち込むフレットは国産のジャンボフレット。
問い合わせたところ、タングの厚さは0.6mmで、硬いメイプル指板なら同厚の切り幅0.6mmノコでいいでしょう、ただしフリーハンドでノコ引きを行うのであれば、溝の幅は広くなりがちですから薄いブレードの方が安全でしょう。

とのことでした。

けがき&ピラニアでガイドラインは真っ直ぐ引けたものの、最後はほぼフリーハンドなわけで、しかも溝を引くエリアはメイプルというよりエポキシなわけですので、0.53mm切り幅のフレットソーを買ってきました(結果的にこの選択が良かったのかも)。

幅は決まったとして、深さはどうなんでしょ?
前回の反省点には、溝の深さについてあまり頓着していなかったというのもあります。
米国製のフレットソーには、この様な溝深調性用プレイト付きのものが有名ギター日曜大工DIYブランドから売られています。

以前からこの思い付きはなかなかだと思っていたので、今回手に入れたフレットソーでも工夫できないかと、こんなんでやってみました。

アクリル板をハンズで買ってきたカワイイ超ミニサイズのクランプで挟んでみましたの。
タングの長さが2mm弱でしたのでそれに合わせてアクリル板位置を調整、アクリル板が指板に当たるまでシャコシャコ慎重にノコ引きしたというわけです。

もっとも、フレット溝の深さはタング長とドンピシャがベストなのか(つまりタングの下部が溝の底に接している)、それよりフレットのつばの部分が指板表面にガッチリ押し当てられているかどうかなのか、はたまたそれよりもタング左右が溝にギュウギュウ挟まれているそのギュウギュウさ加減の方が大事なのか、その答えは私は持ち合わせておりません。でも、いくら何でもタングの下に指板の左右からのぞき見えるほどの溝が空いているのも何だかなぁですので、今回この私の思い付きを試してみたのですよ。

しかし切れ味の悪いノコです。もう少しスパッと切れるノコならアクリル接触時の感触がはっきりして、溝の深さがバッチリ均一にできたのでしょうが、案の定、フレット打ち込み後の擦り合わせでは結構頭が揃わずという事態にもなりました。
まあこれは偏に私めの腕の未熟さと認める次第であります。

ところで道具の写真ばっかりで実際の現場写真は無いの?といぶかしむ向きも多いかと存じますが、それはね、このネックちゃんとのお別れとなるか、今後も添い遂げるかのまさに運命の分かれ道を自らの手でこしらえているんですから、そんな余裕が無いほど緊張していたということをご理解いただきたく思いますのよ。

またまたつづくっ!

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